ピグマリオン教育と『論理国語』
2020/06/14
2022年から新しい学習指導要領が実施されます。その目玉となっているのが『論理国語』の新設。従来の教師が読解方法の指導や読み方を教え込む教育から、生徒に考えさせる教育への転換だと言われています。
そこで大切なことは、指導する側が言葉の本質を正確に捉え、しっかりした言語感と教育方法を理解できているかどうか。
人は感じたり考えたりしたことを自由に話しているのではありません。言語を使い感じたり考えたりした様々な物事を整理し、第三者に自分の考えや思いを伝えるための努力をします。第三者と考えや思いを共有することで人間関係を形成していきます。
しかし、表現と言う営みが安易に捉えられている可能性があります。一般的な表現言語を知らない乳幼児でもできる「むずかりや甘え」と同程度にしか理解されておらず、責任の所在が曖昧な感じがします。乳幼児の「むずかりや甘え」は、1対1の相手に対し肉体能力の届く範囲で直接発せられ、そのコミニケーションの責任は相手側にあります。しかし、一般的な言語活動はあらゆる点でこれと正反対です。発信者側は相手に表現内容を正確に理解してもえるよう伝える責任があります。
ピグマリオンでは、コミュニケーションの育成が、言語教育の目的あり幼児教育全体の目的だと考えております。コミュニケーションとは、意思疎通であり感情の共有であると考えているからです。乳幼児期における言語教育は心の通い合う感情の交換の中で育ちます。幼児の伝えたいことを子どもに代わり言語化してあげたりしながら、コミュニケーションの中での言葉の役割を実感させてあげることが重要です。人間は他人との関係の中で生まれ、その関係の中で自己を育てていきます。心も能力も喜びも生きる意味もその関係の中で(つまり、コミュニケーションの中)で育っていくのです。
ピグマリオン教育の最終目的は、人間性・社会性を育てることです。社会の中で他人との間に良好な人間関係を作り、他人と一緒に成長しながら共存できる子どもになってほしいと願っております。あらゆる能力を高めながら言語を使いこなし、他人に思いや考えを正確に伝え、共有することができる子供たちを育てていきたいと考えております。